福井晴敏って
この一年間に読んだ本で、一番ヘビーに面白かったのは、福井晴敏の「op.ローズダスト」だった。主人公の丹原朋希と、テロリストと化した昔の同胞、入江一功との互いの存在価値を掛けた戦いのストーリーは、最後まで退屈することはなかった。かなり読み進むのにも労力を要する本だったが、二度読み返した。
それにしても、「福井晴敏ってどんな作家というより、どんな人物なんだろう。」と思う。「亡国のイージス」もそうだったし、「終戦のローレライ」、「川の深さは」にしても、登場人物の生き様を通して、「俺達って何だ?」「日本って国って何だ?」と問いかけてくる迫力は凄いと思う。加えて、マニアックなくらいに自衛隊や、公安警察、更には当局の使用する兵器や武器まで徹底的に調べ上げ、それらを使った格闘を、まるでスローモーションで映像を一コマづつ送ってみせるような超密度の描写力には舌を巻いてしまう。日経新聞の読書評に書かれていたが、それでいて「op.オペレーションローズダスト」の中では、悶々と公安警察の末期を過ごしていた並河警部との係わりの場面では、人間臭さも十分に味あわせてくれたりして、ほろっとさせてくれたりで、ほんとに全体の構成力も凄いものがあると思う。
本の末尾の作者紹介をみると私よりも12歳も若いというのと、警備会社に勤めていたことくらいが分かる。もっとも、去年は、「亡国のイージス」「ローレライ」が映画化されたこともあって、それなりに露出をしはじめたようで、一度は、ラジオのインタビューをたまたま聴くこともできた。その時、インタビュアーも「ほんと会う前はどんなゴツイ人が現れるかと思ったら、ほんとフツーの人だったんでびっくりですね~。」と言っていたが、しゃべり方もほんと普通だった。当然ながら福井晴敏の公式サイトも見たりしたが、やっぱり写真もフツーの感じ。そのフツーの感じの中に、「おい、お前は何のために、誰のために生きていくんだい?」と激しく、しつこく問いかけてくるエネルギーがあるのだと思うと、興味津々でなくてはいられなくなってしまう。


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