2007年3月11日 (日)

福井晴敏って

この一年間に読んだ本で、一番ヘビーに面白かったのは、福井晴敏の「op.ローズダスト」だった。主人公の丹原朋希と、テロリストと化した昔の同胞、入江一功との互いの存在価値を掛けた戦いのストーリーは、最後まで退屈することはなかった。かなり読み進むのにも労力を要する本だったが、二度読み返した。

それにしても、「福井晴敏ってどんな作家というより、どんな人物なんだろう。」と思う。「亡国のイージス」もそうだったし、「終戦のローレライ」、「川の深さは」にしても、登場人物の生き様を通して、「俺達って何だ?」「日本って国って何だ?」と問いかけてくる迫力は凄いと思う。加えて、マニアックなくらいに自衛隊や、公安警察、更には当局の使用する兵器や武器まで徹底的に調べ上げ、それらを使った格闘を、まるでスローモーションで映像を一コマづつ送ってみせるような超密度の描写力には舌を巻いてしまう。日経新聞の読書評に書かれていたが、それでいて「op.オペレーションローズダスト」の中では、悶々と公安警察の末期を過ごしていた並河警部との係わりの場面では、人間臭さも十分に味あわせてくれたりして、ほろっとさせてくれたりで、ほんとに全体の構成力も凄いものがあると思う。

本の末尾の作者紹介をみると私よりも12歳も若いというのと、警備会社に勤めていたことくらいが分かる。もっとも、去年は、「亡国のイージス」「ローレライ」が映画化されたこともあって、それなりに露出をしはじめたようで、一度は、ラジオのインタビューをたまたま聴くこともできた。その時、インタビュアーも「ほんと会う前はどんなゴツイ人が現れるかと思ったら、ほんとフツーの人だったんでびっくりですね~。」と言っていたが、しゃべり方もほんと普通だった。当然ながら福井晴敏の公式サイトも見たりしたが、やっぱり写真もフツーの感じ。そのフツーの感じの中に、「おい、お前は何のために、誰のために生きていくんだい?」と激しく、しつこく問いかけてくるエネルギーがあるのだと思うと、興味津々でなくてはいられなくなってしまう。

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2007年3月 4日 (日)

大学時代の読書

もともと読書好きではありません。TV放送が始まったのが確か昭和32年だったように記憶しますが、私はその前の年の昭和31年の生まれなので、いわば「初代テレビっ子」の、その中でも筋金入りの一人だったと思います。高校卒業するまでは、まず、教科書以外はまともに読んだこことがなかったくらいです。

九州から東京の大学に入ってアパートで独り暮しを始めてみたら、それはそれで退屈なくらい時間もあったので、それから単行本を読みあさりました。昭和51年の大学入学だったので、大学紛争も沈静化し、どことなく行き先を失った自分達の気持ちを探すような小説がはやっていたように思います。庄司薫、柴田翔、高橋勝巳とかとか。それまでの遅れを取り戻すように夏目漱石や三島由紀夫あたりの作品も読みましたが、それらも、明治という新しい時代や、第二次世界大戦後という時代の中で、自分を探しているようなものだなという気がしたのを覚えています。まあ、かなり、暗めの大学入学後の読書生活だったということです。

そうするうちに、司馬遼太郎の「燃えよ、剣」を読んだのですが、土方歳三の頑なでこだわり続ける生き方を描いた作品で、読み終えた後に、非常にすっきりした気持ちになれたので、それから司馬遼太郎の作品を立て続けに読みはじめました。「竜馬が行く」「国盗り物語」「太閤記」「翔ぶが如く」「世に棲む日々」・・・・・、とにかくどれも主人公は明快な意志を持って生き抜く姿が見事で、どの作品も読み終えた後には爽快な気持ちと共に、「できれば自分も見事に生きてみたい。」という気持ちにさせられたものでした。

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